Case01

受診率向上効果

高齢化の進む日本において、医療費の増加は大きな社会問題となっています。近年では、生活習慣の変化や高齢化社会の進行にともなって増大する生活習慣病患者の医療費が、財政を圧迫する原因のひとつとして挙げられています。そんななか、生活習慣に起因する疾病の発症と重症化予防を目的に、2008年度から全国の市区町村で開始されたのが特定健診です。国が掲げる特定健診の受診率目標値70%に対して、2008年度の市区町村国保全体の受診率はわずか30.9%でした。全国の自治体は健診の実施に加え、受診率向上の工夫も求められ、数多くの取り組みが行われました。しかしながら、2008年度からキャンサースキャンが受診率向上事業を本格化させた2015年までの7年間での健診受診率は、わずか5.4ポイントの向上にとどまっていました。

行政にとっての最優先事項は、すべての住民に平等なサービスを提供することです。そのため、民間企業のようにマーケティングを活用する場面は少なく、対象者調査やデータ分析をもとにコミュニケーション戦略を考える人材や、受診率向上のためのノウハウも不足していました。また、市区町村の職員数自体は決して多くはなく、そのうえ定期的な人事異動もあるため、特定の分野での専門性を身につけることが難しい環境でもあったのです。

そこでキャンサースキャンに求められたのは、対象者のインサイトとデータに基づいたコミュニケーション戦略の立案と実行を、限られた予算と人的リソースの中で提供し、受診率を向上させることでした。これは、予防医療に必要な分野のプロフェッショナルが集まった私たちの得意とするところでもありました。

まず、創業当時から行っていたがん検診の受診率向上事業で培ったソーシャルマーケティングの手法を用い、対象者インサイトの洗い出しとメッセージの最適化を実施。各自治体のデータを独自の人工知能で分析し、地域に合わせたきめ細かで高水準のコミュニケーションプランを提案しました。2018年度と2019年度の受診率で比較した結果、弊社のサービスを導入していない自治体の平均が+0.3ポイントであるのに対し、弊社が介入した自治体の平均は+3.2ポイントと、受診率が確実に向上していることがわかります。

2015年にスタートした市区町村向けの受診率向上支援サービスは、多くのクライアントにご支持いただき、2021年度には全国約1,700の市区町村のうち約700の市区町村(予定)に導入されるサービスにまで成長を遂げ、一気に業界最大手の地位を築き上げました。これからも、私たちは各分野の知見を取り入れながら、さらなる効果を求めて新しい手法を開発・発信し続けていきます。

Case 02神奈川県横浜市のSMSによる受診率向上事業